2020年2月12日水曜日

腰仙関節で見られる特徴的な画像所見(椎間関節の食い込み)

腰部痛を主訴とする症例の中には、L5/S間において関節突起の食い込みが生じていることがある。





「関節突起の食い込み」というのは、腰椎の斜位像において仙骨の上関節突起がL5のスコッチ犬の首、つまりL5下椎切痕に食い込んで見える所見である

2003年、医師の井上が画像所見については言及していないが、椎間関節の分類として亜脱臼型を報告している。この亜脱臼が椎間関節の食い込みだと考えられる

腰痛を持つ症例の中では、食い込み像がどれほどの数にのぼるのかであるが、腰痛を主訴とした111症例(男性62例、女性49例)、平均年齢50才(15才~85才)において、仙骨上関節突起がL5のスコッチ犬の首に接触しているものを型、スコッチ犬の首を突き抜けて上関節突起が食い込んでいるものを型として調べたところ、111症例中59例で食い込み像を確認した(54例、5例)

接触:Ⅰ型
食い込み:Ⅱ型

※矢印は仙骨上関節突起 





男女別では、次のような結果であった
男性62症例(26例、0例)
女性49症例(28例、5例)






食い込み像が、50歳代以降にしか見られないことは、変性に伴う椎間板狭小に付随して生じているのだろうと考えられる。また、食い込み像がL5/S間に集中することも、椎間板狭小が根底にあることを示唆している


食い込み像の見られる関節部では、神経根への放散痛ではなく、強い限局性圧痛が誘発される
この限局性圧痛は、椎間関節の亜脱臼を示唆する所見として有効かもしれない


椎間関節の亜脱臼を呈している場合、亜脱臼側を上にした側臥位にして、術者は一方の手を上後腸骨棘にひっかけ、他方の手をL5棘突起に引っ掛けて、対向牽引する(下図の矢印方向)と良い


























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