2020年3月10日火曜日

腸腰筋



起始停止

起始
停止
大腰筋
12胸椎~第4腰椎の椎体および肋骨突起
小転子(筋裂孔を経由)

腸骨筋
腸骨上縁、腸骨窩
小転子(筋裂孔を経由)



構造





作用
大腰筋
股関節屈曲、外旋

両側の収縮で、上半身もしくは下半身を起こす
一側の収縮で、脊柱の側屈
腸骨筋
股関節屈曲、外旋




働きが最大になる肢位





臨床意義
圧縮力
大腰筋は腰椎においては大きな圧縮力を生じる
腰椎・骨盤の安定化を与える一方で、ヘルニアおよび椎間孔狭小の原因ともなりえる

身体バランス
同筋肉の筋力トレーニングにより身体バランスが改善される

腰痛
緊張が高まると腰椎過伸展位とし、腰痛の原因となる

大腰筋の緊張が高い人では反り腰が多く、背臥位での就寝時にも腰痛を訴える

腸腰筋の伸張後に、腰椎の不安定感(主訴)が増大することがある。筋伸張により腰椎伸展が強制されるためと考えられる

腰椎過伸展位の妊婦では、セミファーラー位で腸腰筋を緩めて腰椎伸展を軽減させても痛みの減弱は得ずらい。胎児が骨盤にのっているためと考えられる

腸腰筋は病的な萎縮を生じやすく、一度萎縮を生じると骨盤や股関節の姿勢バランスが弱くなり腰痛が引き起こされる

糖尿病・虫垂炎・尿路感染・化膿性脊椎炎・ステロイド薬剤の使用・低栄養などで免疫力が低下しているときに腸腰筋に菌が付着すると、腸腰筋膿瘍が生じ腰痛の原因となる


腸腰筋膿瘍
腸腰筋内膿瘍は原発性と続発性に分けられるが、続発性の原因には虫垂炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、憩室炎等の消化器疾患や、腎周囲膿瘍などがある
臨床症状は、発熱、局所の疼痛、腸骨窩腫瘤、腸腰筋肢位、歩行障害、WBCCRPの上昇、血沈の亢進など
比較的稀な疾患

筋活動
毎秒2m 以上の歩行速度で、腸腰筋の活動は急激に大きくなる
体の側面から突然外力が加わった時に大腰筋が収縮して、腰を保護する
両側の腸腰筋が機能低下を起こすと、腹筋に障害が無くても仰向けからの上体持ち上げが出来なる

腸腰筋短縮
腸腰筋の短縮はトーマステストで確認できる
腰椎椎間関節症では、腸腰筋・大腿四頭筋・大腿筋膜張筋が短縮する症例が多くみられる

間欠跛行
脊柱管狭窄症で腸腰筋短縮があると、間欠跛行が生じやすい。腸腰筋短縮で腰椎過伸展位をとると脊柱管が狭小するためと考えられる
間欠跛行症例に腸腰筋、大腿筋膜張筋、多裂筋のストレッチを行ったところ、93%の症例で歩行距離延長がみられたという報告あり













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