肩関節水平屈曲運動において肩鎖関節に疼痛を生じる症例がある
このような症例で比較的多い所見に、水平屈曲時の「肩関節過剰前方移動」がある
ベッド上で患者背臥位
健側と患側とで水平屈曲運動を比較すると、健側ではベッドから肩峰までの距離が最終水平屈曲まで不変であるのにも関わらず、患側では肩甲帯が過剰に前方移動し、ベッドから肩峰までの距離が広がる
ベッドから肩峰までの距離
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このような肩の過剰前方移動は三角筋の柔軟性低下が原因で生じていることが多く、三角筋中部・後部線維を重点的にマッサージすることで、前方移動と共に、肩鎖関節痛が改善されることがある
三角筋中部・後部線維のマッサージは、各セラピストで方法があると思うが、私は次の方法で行っている
② 筋線維の縁を横断的にマッサージ。圧力は3kg程度
② 付着部である肩峰と三角筋粗面の揉捻
③ 筋腹を起始・停止方向に伸張
④ 筋線維がS字状になるように、前方と後方からねじる
⑤ 肩関節内転45°位で中部線維を横断的にマッサージ
⑥ 肘屈曲90°、肩関節内外旋中間位を保持したまま、肩関節を120°挙上し、後部線維を横断的にマッサージ(対象者によっては、後部線維の柔軟性低下により挙上に伴う肩関節の内旋が生じるため、内旋しないように固定して行う)
症状の度合いにもよるのだが、先日受け持った症例では5分のマッサージで、ベッドから肩峰までの距離が健側・患側ともに同等となり、水平屈曲に伴い生じていた肩鎖関節の痛みは消失した。


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