2020年2月18日火曜日

大腿四頭筋

大腿四頭筋について



起始停止

起始
停止
大腿直筋
下前腸骨棘、寛骨臼上縁
膝蓋骨底(一部は膝蓋靭帯を介して脛骨粗面)
外側広筋
大転子の外側面、大腿骨粗線の外側唇
膝蓋骨の外側および上縁、中間広筋・大腿直筋の停止腱(一部は膝蓋靭帯を介して脛骨粗面)
内側広筋
大腿骨の転子間線の下部、大腿骨粗線の内側唇
膝蓋骨の内側および上縁、中間広筋の停止腱(一部は膝蓋靭帯を介して脛骨粗面)
中間広筋
大腿骨体の前面
膝蓋骨底(一部は膝蓋靭帯を介して脛骨粗面)




構造
大腿四頭筋は直筋、内側広筋、外側広筋、中間広筋からなる




作用
股関節の屈曲
膝関節の伸展
膝の伸展、歩行時に下肢を持ち上げるときに働く





働きが最大になる肢位
大腿四頭筋
股関節屈曲は膝関節屈曲位で優位に働く
膝関節伸展は股関節伸展位で優位に働く
※これを頭に入れておくと、四頭筋訓練をする際に有効な肢位で行える
内側広筋
膝関節軽度屈曲位(2030°)で働く
※膝OAの内側広筋訓練などは、この肢位で行うと良い


臨床意義 
OA
OAでは四頭筋(特に内側広筋)の筋力低下がみられる。痛みのために筋出力が発揮できないことも弱化の要因になる
OAでは大腿四頭筋の筋力強化は症状軽減に効果が高い

四頭筋外側面の痛み
大腿直筋は唯一の二関節筋で、四頭筋の中では最も硬くなりやすいと言われている。四頭筋の筋緊張がみられる場合、初めに確認したい筋肉である

パテラ上縁の痛み
外側広筋と内側広筋の比率は31であるため、外側の筋収縮力が強くなると膝蓋骨は外側方向へのストレスがかかる。パテラの外側上縁に痛みを有する場合はチェックしたい

膝蓋骨脱臼

女性では下腿の骨形態も原因となるが、外側広筋の緊張により、膝蓋骨脱臼を生じやすい
四頭筋全体の筋力低下でも膝蓋骨脱臼の原因となりえる

四頭筋近位部の痛み
四頭筋の弱化しているケースでは、筋腹での収縮が困難となり四頭筋近位部で過収縮が生じて痛みが誘発される
歩行時や筋力強化訓練時などに痛みが誘発されることがある
この場合、筋腹に指などで圧刺激を加え、そこを意識させながら筋収縮訓練を行うとよい

ジャンパー膝
成長痛の一つであるジャンパー膝は、大腿四頭筋の筋緊張により、膝蓋粗面が牽引されて生じる。筋より骨の成長の方が早いため、相対的に大腿四頭筋が短くなって生じる。
10代の男子に多い
ジャンパー膝用のサポーターなどがある

肉離れ
大腿直筋、中間広筋の中央部に頻発する
疲労時や筋の柔軟性が低下している時に生じやすい。
筋の柔軟性低下は運動開始直後もそうであるが、成長期で骨と筋の相対的な長さのアンバランスも原因となる

トリガーポイント
大腿直筋では近位部にトリガーが発生しやすい
中間広筋では中央、遠位1/3の各部に発生しやすい
外側広筋では近位、中央、遠位1/3の各部に発生しやすい

膝折れ
L2~4神経根の障害で大腿四頭筋の筋力が低下する。筋力の低下は膝折れの原因となる

腰痛
四頭筋および腸腰筋の短縮により骨盤が前傾すると反り腰になる
大腿四頭筋の筋力低下により、日常的に膝折れが生じると、膝折れを防止するために体幹は前傾位とをり腰部筋群の働きを高めてしまう
尻上がり現象

大腿四頭筋の短縮を確認するテスト
方法は、背臥位にて一方の膝を屈曲させる。四頭筋が短縮していると、屈曲に従い股関節が屈曲し臀部が持ち上がる



運動点(モーターポイント)
運動点とは
運動点とは運動神経が、その支配する筋に入り込む場所のこと
四頭筋には大腿神経が侵入するが
大腿直筋では赤い星
外側広筋は緑の星
内側広筋は青の星
から神経が侵入する

運動点の圧痛
運動点での圧痛は、より近位の病巣を示唆する
大腿神経であれば、股関節前面(伸展損傷)、腸腰筋内(血腫等)、L2-L4の椎間孔、脊柱管病変など

運動点への電気刺激
運動点への電気刺激は、わずかな量でも強い筋収縮が得られる。故に筋肉の弱化がみられる例では、運動点に電気を流して、筋収縮を促すことがある








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